一昨日、懐かしい方からLINEをいただきました。
そして今日、2年ぶりにお稽古で再会することができました。
川村さん(仮名)が初めて教室の扉を叩かれたのは、9年前のこと。
音楽経験はまったくなく、日々の家事やお仕事に加えて、ご家族の介護もこなす、忙しい毎日の中でした。
それでも、「ある曲を、ある形で演奏できるようになりたい」という静かな夢を胸に、箏・三絃・胡弓を順番に習いたいとお話しくださいました。
楽器未経験、50代からのスタートです。
演奏スタイルや奏法、そして限られた曲目は、私たちが普段学んでいるものとは少し異なり、他のお教室では受け入れが難しい、少し特殊なご希望でした。
でも私は、川村さんの想いに心を打たれ、「その夢、ここで叶えましょう」と、自然にお声をかけていました。
そして、川村さんの夢に少しでも寄り添いたいと思い、川村さんが胡弓を習い始められる少し前ーー約4年ほど先に、私も胡弓を習い始めました。
お稽古は不定期で、ワンレッスンでいらっしゃることもあれば、まったく来られない時期もありました。
反対に、来られるときは集中して5日間連続で通われたり、1か月に10回お越しになることも。
川村さんは、いつもご自身のペースで、一歩ずつ丁寧に歩んでこられました。
そしてついに、最後の胡弓の試験にも一発合格。
「先生にめぐりあえて、先生の教室で習えて本当によかった」
そう言ってくださったこと、今でも心に残っています。
ですがその矢先、ご家族の介護が本格的になり、お会いできない日々が続きました。
そして一昨日――
「やっと自分のために時間が使えるようになりました」
「何がしたいか考えた時に、真っ先に先生の音色が恋しくなりました」
そんなメッセージをいただき、またお会いできたことが、本当に嬉しくてなりません。
この教室は、みなさんの人生に寄り添う場所。
音楽だけでなく、日々の気持ちを整える“よりどころ”のような存在でありたいと、いつも願っています。
お稽古に備えて、私も久しぶりに胡弓を出しました。
皮が破れていなくて、ホッとひと安心。
弓の組み立て方や持ち方には少し戸惑いましたが、いざ握ってみると、不思議と体が覚えていてくれました。
人と人がつながる音、忘れかけていた音楽の時間。
また一緒に胡弓を奏でられる日々が戻ってきたことに、心から感謝しています。
そしてまた、恋しくなったら――どうぞ、いつでも会いに来てくださいね。
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